一歩一歩、着実に。新しい仲間とともに、新たなステージを切り開く

買手目線から聞く、”次期”社長インタビュー企画!!後編です。

PART1はこちらから。

譲渡成立後が本当のスタート。従業員と足並みをそろえるために・・・

三和建設を退任し、2022年の10月1日から、森塗装工業の専務として従事しています。2023年4月には私が代表取締役社長に交代して、森社長は会長に就いていただきます。

実は元々、10月からは三和建設と森塗装で兼務しようと考えていたんです。でも、譲渡契約締結直後、従業員に森社長自らがM&Aについてディスクローズされた日、思いのほかザワついたんです。

森社長は「社員は私の言うことなら納得するはず」と仰っていたのですが、「会社を売ってきた?今度三和建設っていう会社が乗り込んでくるだと?」という感じで、その場は炎上していました(笑)。

同日、三和建設の社長と一緒に森塗装の本社へご挨拶に訪問したのですが、待たされること20分。扉は閉まってるけど、漏れてくる声が「どういうことですか!」という感じで…。熱気漂う中、そこに社長と私が入って自己紹介をしましたが…。「どうしてうちの会社をM&Aしたのか」「どういうビジョンなのか」とか、質疑応答もまるでザワつく株主総会みたいな状況でした。

大変でしたが、その日はなんとか手ごたえはあったんです。でも、その様子を見て「すぐにここへ来て、本腰を入れた方が良い」と思い、(三和建設の)社長と相談の結果、急遽10月から森塗装に常駐専任とすることを宣言しました。

そこからは一人一人とも話をしたり、歓迎会をしてもらったりして、すぐに仲間になれたと感じています。

あの日のことは何年経ってもきっと忘れないでしょう(笑)。そして、その後の森本専務と森社長の素晴らしいフォローアップのおかげで、ものすごいスピードで従業員の心をつかみ、皆様を前向きに転換させられたことも。後日談を聞いて、「さすがだなぁ」と感銘を受けましたよ。

買手と売手、双方の寄り添い方がPMI(統合後プロセス)を左右する

森社長とのハイブリッド体制もうまく機能していると思います。森社長がとにかく「私が選んだ結婚相手だから、絶対間違いない。『運命でしたね』って、言わせてやるから見ておきな!」という感じで仰るので、「まぁ社長がそこまで言うなら…」と他のメンバーも聞き入れてくれます。

逆に私は、「自分は経営請負人でも何でもないし、稲盛和夫さんでもない。地道にやろうよ。」と話をしているので、ちょうどいい塩梅になっています。

三和建設での功績を活かしながら、この場所でも改革を成し遂げる

森塗装工業は平均で売上3億円ぐらいの規模で推移しています。在来の得意先のグループ再編が重なり、仕方ないんですけれど、受注は減ってきています。だからそれに変わる営業先を見つけないといけないんです。

森塗装工業は塗装工事のみを管理するプロ集団ですが、もう少しだけ手を広げ、できることを少しずつ増やしながら、まずは売上を拡大していくことを考えています。非常に優秀な監督が揃っている会社なんだということをもっと伝えていきたいですね。

実は、森塗装を見ると、三和建設の20年ぐらい前の姿と重なるところがあると感じているんです。特に、本当に名門の一流企業のお客様から直接受注をいただけて、その仕事の質が良いから「またお願いします」と言われる。この繰り返しを何十年も続けていることが最大の特徴です。三和建設もかつてはそうでした。

ただ、だからこそその立派な取引先から仕事が来ないと、売上も一緒に下がっていく。その状況から脱却すべく改革をして、成功したのが今の三和建設です。森塗装はその前段階の姿に非常に似ているんですよ。

だから私自身、すでにアイデアがたくさんあります。塗装の専門会社にハマるかどうかはまだわからないけど、三和建設を変革させてきたやり方を展開できれば、森塗装でも成功させられるという手ごたえがあるんです。

1人も欠くことなく、皆で一緒に前進したい

従業員はM&Aで自分の雇用が守られるかどうか不安を感じていたかもしれないけど、誰一人、欠けてはならないんです。一人でも減ったら大ダメージですから。どうしても嫌になって辞めてしまうケースがあるとしたら、それは私の責任。だから皆には何でも言って欲しいし、「良い会社にすることしか考えていない。力とアイデアをください」という想いを伝えています。

私は魔法使いではないから、ここに来てすぐに何かを大きく変革出来る訳ではない。「5年後の目標を掲げよう」とか、「3年後までにはこういう変化しよう」とかもあんまり言いません。でも、みんなで手を繋いで前を向いて進んでいたら、「この1年で、これだけの坂を登ってきたんだ。」と実感できるようにやっていきたいんです。これは三和建設でもやってきたことだし、森塗装もきっとできると信じています。

譲渡後に早速、三和建設とのコラボレーションする案件の打合せがあったそうで、その後ろ姿を撮った写真がこちら(↓下の写真)。

その頼もしい背中から、未来への希望と新しい変革の始まりを感じます。

M&Aの舞台裏を知る私や森ご夫妻、森本専務からすれば、半年かけて成約したこの縁談が、目に見えて形になったようで感慨深いものがありました。

とはいえ、M&A成立はスタートライン。これからのますますの発展を楽しみにしています!

柿本

貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!

最後に、編集後記もぜひ読んでいってくださいね。