株式譲渡と事業譲渡 ―②

前回の記事では「株式譲渡」の説明をしました。

今回は「事業譲渡」をごく簡単にご説明したいと思います。

事業譲渡とは。ある一部(もしくは全部)の事業一式を他者へ譲ることです。

では、「事業一式」とはなんでしょうか?

事業一式とは。一般的には下記のようなものが考えられます。

・顧客との取引関係

・仕入先など事業運営に必要となる業者との取引関係

・対象事業に従事する従業員

・事業の運営ノウハウ

・事業運営に必要となる機械設備や業務システム一式

買い手がこれまで通りの収益を稼ぐために必要となるもの一式を譲り受ける、というイメージです。

株式譲渡との違いについてご説明します。

株式譲渡は、対象会社の株主になることで、基本的に対象会社が保有する資産・負債(権利・義務)を自動的にすべて継承するスキームでした。

これに対して事業譲渡では、引き継ぐ資産・負債を特定して引き継ぐ、という特徴があります。

つまり、株式譲渡のときには譲渡対価が株式の価値(資産・負債をすべて引き継ぐ想定で、会社の価値をいくらとするか)であるのに対し、

事業譲渡では、引き継ぐ事業に必要となる資産・負債を特定し、その継承資産・継承負債の価値がいくらなのかを算定して譲渡対価を決めるというイメージです。

従って、最終契約(事業譲渡契約)の時点で、継承する対象物を契約書に明記するため、株式譲渡のように「見えない簿外債務を知らぬ間に引き継いでしまう」というリスクは少ないと考えるのが一般的です。

「それなら事業譲渡の方がいいのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。しかし、もちろんそう簡単ではありません。

次回は、株式譲渡と事業譲渡の手続きの観点から、その違いについてご説明します。