株式譲渡と事業譲渡―③

株式譲渡と事業譲渡の違いをざっくりと説明しました。

「見えない簿外債務を知らぬ間に引き継いでしまう」リスクは少ないのだから、「事業譲渡」スキームの方がよいのでは?

と思うかもしれませんが、果たしてそうでしょうか。

なんでもかんでも引き継いでしまうリスクが無いということは、言い換えれば「その会社に紐づいていたものはそう簡単に引き継げない」ということです。
だから、引き継ぎたいものも引き継ぐハードルがぐんと上がります。

例えば、ビジネス上必要な許認可や特許、そして顧客との取引契約、仕入れ先との取引契約…。事業譲渡になると、これらすべてを取得し直したり、契約しなおしたりしなくてはいけません。会社が変わるので当然です。

200社の顧客があったとしたら、200社と契約を巻きなおすことが前提です。許認可も、申請しなおしです。土地建物の賃貸借契約書なども、すべて基本的には巻きなおしです。

これって、ちゃんと無事に元の会社と同じ状況に整うかどうか未知数だし、すごく手間ですよね。考えただけで、頭が痛くなってしまうかもしれません。これが事業譲渡スキームのデメリットのひとつと言えると思います。

ではどちらが良いのかと言ったら、当然、案件によりけりです。

会社に紐づく許認可や契約事態に価値があるものであれば、株式譲渡スキームを望む買い手が多くなるでしょう。或いは、多数の事業のうち、特定の1つの事業だけが収益性が良かったり、余計な借入金を切り離したいニーズがある場合は、事業譲渡スキームが好まれるでしょう。

その会社(もしくは事業)の「どこに価値があるのか?」をよく考えて、また同時に「どこにリスクがあるのか?」を考慮して最適なスキーム設計することが必要です。


売主の税務メリットを考慮してスキームを決定しくパターンもありますし、廃業した場合との比較で決定していくこともあります。スキームに関しては、実は株式譲渡と事業譲渡の方法だけではなく、様々な手法があります。

ビジネスの特性や財務状況、買い手目線での考え方など様々な要素を考慮して一番良い継承方法をアドバイザーとともに考えていくことが大切です。