苦悩を経て乗り越えた1年間。この良縁は、長年の献身が生み出した功績の証

M&A成約を果たした売主社長へのインタビュー企画、第1弾 PART2!!

PART1はこちらから。

■取材協力:森塗装工業株式会社 代表取締役社長 森敬様(取材執筆:代表 柿本美沙)

柿本

改めて、本当にお疲れさまでした!森社長とは2021年の後半からご相談を重ねていました。

約1年間に及ぶ中、辛かったのはどの場面でしょうか。

「自分の選択が本当に正しいのか」悩み苦しんだ当初

「M&Aに動こう」と決断するときが一番苦しかったですかね。なかなか踏ん切りがつかなくて。自分が正しいことをやろうとしているのかわからない。当然、初めての経験で、この後どうなっていくのかもわからない。自宅で部屋の中もうろうろして、夜中も眠れなくて…。「本当にこの決断が正しいのかなぁ」と思いながら過ごしていました。

でも、行動を起こさない限り、変革にはつながらない。「うまくいくかわからないけど、とにかくやろう!」と思って決意したんです。

それから取り組み初めて、「自分の決断は正しかった」と感じた瞬間は、三和建設から前向きな意向表明を提示していただいたときでしたね。

家族と共に取組んだM&A。支え合いながら、前向きな指針を示せた

柿本

ご家族とも相談を重ねて話を進めてこられた印象があります。

息子さんには、M&Aを検討する前は会社を継がせようと考えていたようでしたが、反応はいかがでしたか。

私の決断に対して一番迷惑をかけるのは倅(せがれ)でした。だけど、ゆくゆく私の決断が遅くなることでさらに迷惑をかけることを想えば、今回のことは判断としては間違いない。そう自分に言い聞かせてはいたものの、振り回される倅のことを想うと辛くて…。

倅に話すタイミングも躊躇してたのですが、そのときは柿本さんに背中を押されて「私が同じ立場なら、話してもらいたいですよ。」と言ってもらったことで踏ん切りがついたんです。

倅も、思った以上に前向きに理解をしてくれました。かみさんからも「もう会社に縛られる必要ないんだから、自分の進路は選び放題。幸せだと思っていいんじゃないの。」とアドバイスしてくれました。いまは前向きに考えてくれています。

これからは倅には、自分で好きな仕事に従事して、胸を張っていろんな人と出会って前向きな人生を歩んでほしいなと思います。

柿本

譲渡を検討している社長にメッセージをお願いします。

「第三者の力を借りる」は前向きな選択肢。活力を失う前に決断を

ゆくゆく業績が心配な状態で、譲渡を考えているのであれば、決断は早い方が良いです。大きな会社はこれだけ合従連衡を繰り返す中、中小企業としての選択肢が、これまでは「親族が継ぐか」「廃業するか」「潰れてしまうか」の3つくらいしか選択肢がなかったわけで。そういう中に「第三者が後を継いでくれる」という、以前には無かった選択肢があるのだから、前向きに考えてみるのは良いことだと言えます。

問題点を抱えたまま、会社に活力がなくなったりすると、お見合い相手(買手企業)には魅力的には映らなくなってしまうでしょうし、時間が経てば会社も疲弊して従業員のモチベーションも下がってしまう。だから会社の活力があるうちに良い相手を探した方が良いと思います。

柿本

最後に、社長の人生にとって、今回のM&Aはどんな意義があるでしょうか。

人生の集大成である森塗装工業。長年の功績が認められたことは、大きな「誇り」に

私は41年間、森塗装工業にしか勤めたことしかなくて、自分で自分の首を切って会社を去ることを決断したわけですが、この会社はいわば私の「人生の集大成」。そこに自分でよく見切りをつけたなと思います。「第二の人生に舵を切ったんだ」と実感しています。

先代が他界して、自分が社長になった頃、最初はだれかに怒られたり褒められたりしてもらえないことが寂しいと思った時期もありました。

以後、小さな会社だけど一生懸命に磨きをかけてきたわけですが、誰から何も言われない寂しい気持ちも、時間が経てば薄れていきました。福利厚生など社内体制の整備なんかも「よくわからなくても、やることが良いことなんだ」と言い聞かせて一生懸命取り組んできたんです。

今回、そういったこれまで手掛けてきたことすべてを含めて評価してもらえて良縁に繋がったことは、すごく嬉しかったですね。

「理解してくれる人がいた」と思えたし、「いままで真面目に一生懸命やってきててよかったな」と思いました。三和建設というあれだけ立派な会社がうちの会社のことを認めてくれたことが、自分としては誇らしいです。

ここまでずっと、頑張ってきて良かったなと思います。

柿本

貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

最後に、この記事の編集後記もぜひ読んでいってくださいね。

■M&Aマッチングサイト「バトンズ」のインタビュー記事はこちら:創業60年。2代目社長が大切に磨き上げた塗装会社の真価が認められた日