廃業とM&A、手取りはこんなに違う(試算例つき)

M&Aコラム

「もう十分やった。畳めばきれいに終われる」——そう考える方は少なくありません。でも実は、廃業は「ゼロで終わる」のではなく「マイナスで終わる」ことが多いのをご存じでしょうか。同じ会社でも、廃業とM&Aでは手元に残るお金が大きく変わります。今回はその仕組みを、簡単な試算例とあわせてご説明します。

廃業には、意外とお金がかかります

廃業を選んだ場合、会社の資産は「事業をやめる前提」の値段でしか売れません。さらに、やめるためにかかる費用が積み上がります。

  • 資産の投げ売り — 機械や車両は中古処分価格に。帳簿では1,000万円の設備が、処分では数十万円ということも珍しくありません。
  • 処分・撤去の費用 — 在庫の廃棄、設備の撤去、借りている事務所や工場の原状回復。
  • 従業員への対応 — 解雇予告手当や退職金。長く支えてくれた人ほど、応えたい気持ちと費用は大きくなります。
  • 手続きの費用 — 解散・清算の登記、税理士・司法書士などの専門家報酬。

簡単な試算例 — 同じ会社で比べると

帳簿上の純資産が3,000万円の会社を例にします(あくまで考え方をつかむための単純化した一例です)。

廃業の場合: 設備や在庫が帳簿より大幅に安くしか処分できず、資産の目減りが▲1,200万円。さらに撤去・原状回復・解雇関連などの廃業費用が▲500万円。手元に残るのは1,300万円ほど、というイメージです。

M&Aの場合: 事業を「続ける前提」で引き継ぐため、資産は時価で評価され、さらに利益が出ている会社なら営業権(のれん)が純資産に上乗せされることがあります。仮に営業権が500万円付けば、譲渡対価は3,500万円。ここから税金やアドバイザー報酬を支払っても、廃業との差は歴然です。

実際の金額は、資産の内容・業績・契約条件・税金によって大きく変わります。上の数字はあくまで一例ですので、ご自身のケースは必ず専門家にご確認ください。

手取り以外にも、大きな違いがあります

M&Aと廃業の違いはお金だけではありません。従業員さんの雇用が続くこと、取引先にご迷惑をかけずに済むこと、そして自分が育てた事業が誰かの手で続いていくこと。ご相談の現場では、最後はこちらの方が決め手になることも多いと感じます。

柿本

「廃業しかない」と思い込んで処分を始めてしまってからでは、買い手が見つかっても価値は戻りません。比べるだけなら費用はかかりませんので、決断の前に一度両方の数字を見てみてください。

廃業を決める前に、一度ご相談ください

御社の場合の「廃業とM&Aの違い」を、無料相談で一緒に整理できます。

まとめ — 「畳む」と「譲る」、両方の数字を見てから決める

廃業が悪い選択だとは思いません。ただ、廃業はいつでも選べる一方で、M&Aは会社が動いているうちにしか選べない選択肢です。後継者がいない場合の選択肢の全体像は後継者がいない会社の4つの選択肢で、売却の具体的な進め方は売却をお考えの方へでご紹介しています。

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