『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。』
自然科学者であるダーウィンの進化論では、生命体の世界は「強者生存」ではなく「適者生存」です。
これはビジネスの世界においても全く同じで、世の中の変化に対応できた事業だけが生き残り、繁栄を続けます。
過去の栄光にすがりついて「変化」を選ばないまま進化をしない限りは「後退」と同じです。
歴史の長い大企業にとって、これまで足元にも及ばないと思っていたような新興企業があっという間に業界を牛耳ってしまい地位を奪われてしまうようなことは、世界的に見ても日常的に起こることです。
2021年が明け、早1ヵ月が経ちました。2月に入り、M&Aのニュースを追っていると、自分の知っている会社が「あの会社と事業提携したなんて!」「あの会社に吸収合併されたとは!」と驚くような事例がたくさん舞い込んできます。
IR情報を少し覗いてみると、M&Aに至った経緯や戦略、今後の展望などがびっしりと書かれています。多くの企業が業界を俯瞰し、「このままではいけない」と課題観を持ってM&Aという英断に至ったことが垣間見えます。
M&Aは、多大な労力やコストがかかるだけでなく、成約後にうまくいくかどうかも全く未知数な非常にfragile(脆い・不安定)な挑戦です。しかしM&Aは、スピード感をもって変革をもたらすことができ、業界で生き抜くためには強力な戦略となり得ることは確かです。
他社と組んで、自社だけでは太刀打ちできない業界の課題に対し果敢に挑んでいく。IRを見るだけでもその挑戦の姿勢を見ることができ、率直に「すごいな!」と思ってしまいます。
「淘汰」というと、弱い者が消されていくシビアな考えに聞こえるかもしれませんが、個人的にはビジネスの世界でも「淘汰」は進んでいくべきだと思っています。業界内の個々のプレーヤーが小さい者同士で闘うのではなく、協調し合いそれぞれの強みだけを残して淘汰されていき、業界全体が強くなることを目指すべきです。
大事なのは「競合はだれなのか」を業界の枠組を超えて大局的に考えられる力なのではないでしょうか。業界内のライバル企業だけが競争相手ではありません。「業界自体を脅かす存在はどこのだれか」まで、俯瞰的・長期的視点に立って考えていくことが肝心だと思います。本当のライバルを見据えながら戦略を立て、M&Aを含めさまざまな「変化」を繰り返していくことで、どうすれば業界自体が生き残り、繁栄し続けるのかの道が見出されていくのでしょう。
今後もたくさんのM&Aニュースを通じて、多くの企業の挑戦を見ることができるのが楽しみです。